NOTE

塀をつくるために考えたこと
2020.6.24

あるご年配のご夫婦から依頼をいただきました。

家の庭に塀を作りたい、というものでした。

ホームページをみたご夫婦の息子さんが、こういう人がいるとご夫婦にお話してくださり、メールをくださったのでした。本当に嬉しいです。

お住まいの場所は住宅地で、隣地には住宅が密接して立ち並ぶような場所。その中に塀をつくる。より慎重にならなければならないとその時に感じたのです。

①視覚的な要素 ②周囲への圧迫感 ③構造的な要素、この3つを特に重要視する必要がありました。

①視覚的な要素

隣地への目線を遮ることが目的になるのですが、塀を木でつくりたいということで、気候・気温・湿度による収縮や膨張を加味し、その中で板間の隙間を決める必要がありました。現場でも厳密に確認したのですが、5ミリを基準として、その点について対応しました。隙間が大きすぎても視線が抜けてしまい、塀の意味をなさなくなるために注意しながら設計を行いました。

②周囲への圧迫感

視覚的な要素とも関係するのですが、塀をつくる行為自体が周囲への物理的・心理的圧迫感をもたらします。これは工事の合間のあり方にも問われる部分で、そのプロセスによっても、不快感やストレスにより、心理的な閉塞感を生み出すことに十分につながっています。これからも住まわれ続けることを大切に踏まえ、慎重な動きを心がけました。

③構造的な要素

塀を高くつくる場合、風のあおりや雨水、材質について特に考える必要です。今回は2.4メートルほど高さがあるため、控え柱を二つ立てた。ほお杖のような役割を持たせることで、あおり対策としました。雨水についてはガルバリウム鋼板製の笠木を設けることで、柱・梁・土台という構造部の接合箇所を雨水侵入から守るものとしました。

①②③の要素を踏まえつつ、塀の厚みや樹種、ほお杖の位置関係、周囲の境界線との兼ね合いなどを考慮し、見かけのものではなく、暮らしを育んでいくための心理的圧迫感を出来る限り取り除いたデザインとしました。

塀はメンテナンスを軽減することや風合いのあるレッドシダーという耐水性のあるヒノキを採用しました。レッドシダーは源平材という、赤系と白系が混ざった板材としたため、全体としてムラがある張り方とした。自然の中では均一なものはない、基本的にムラがあることが自然だと考えています。しかし作ることは人が介在し、人為的作為となってしまうため、その上で、均一な風景とならないように注意を払いました。

結果、普段打合せをさせていただくリビング空間から庭をみる風景は、塀によって包まれた印象を生み出していました。リビングが以前よりも広く感じる、心理的な側面と家の広さは因果関係が大きいです。これからも外と中が一体となって、暮らしが育まれていくことを想像させてくれました。

ご依頼いただいたお客様からも嬉しいお言葉をいただけ、また近くを通った際は是非とも寄らせていただきたいです。様々な芸術を嗜むご夫婦からは、素敵なお話をたくさん伺うことができました。本当にありがとうございました。単なる見た目のことではなく、周辺環境との関係性を様々な要素からデザインしました。これは住居や店舗についても同じことなので、何かありましたらぜひお問い合わせください。

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私たちは、兵庫県加古川市を拠点に活動する建築設計事務所です。”優しくなれる場所をつくる”をコンセプトとして、自然と人が寄り添うワクワクできる場所づくりを実践しています。時代を見据えた従来の概念に捕われない柔軟な発想で、場作りのご提案を致します。建築だけではなく、資金計画はもちろん、敷地探し等も対応しております。店舗の場合は、企画・立案~建築以外の庭廻りやグラフィックデザインまでトータルのご提案が可能ですので、ぜひ小さな疑問ややりたいことをお問い合わせください。コンタクトフォームはこちらからどうぞ!

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