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上野田の"終の棲家"


左官を営んできた家を住み継ぐ

兵庫県は姫路市。昭和中期に建てられた小屋裏をもつ平屋建ての住まい。元々お客様のお父様が左官業を営まれており、住まいのあらゆる場所を何年もかけて工事し建てたとのこと。

左官や庭の石張りなど腕をふるまわれた跡を随所に感じる住まいを、娘であるお客様ご夫妻とお母様が3人で住み継いでいくために、リノベーションを行うことになりました。

柱と壁をすべて残したリノベーション

建物の構造として、建物の微妙な傾きや、住まいを支える柱や壁は、構造的にバランスが良かったため、建物を守っていくために今回は一切撤去しないという判断を私自身が行いました。

柱と壁を一部とる場合、間取りの自由度はもちろんアップするのですが、今回は構造面を特に最重要視しながら、間取りを計画しました。


採光・湿気・通風のこと

現状では、扉による仕切りが多いこと、荷物が占有していたこと、外部の庭木が繁茂していたことから、外からの光が入りにくく、風も抜けにくく、湿気がたまりやすい環境がありました。

 

今回はその点を改善しながら、間取りを組み替えていくことを大切にしました。


父がこだわった玄関を明るく残したい

お客様のお父様が、左官職人で、家も自分の手で自力で建てられたそうです。その中でも玄関空間には特にこだわられたとのこと。人を迎えいれる場所を丁寧に作り上げる、職人の熱量を感じました。

 

今回のリノベーションは水回り以外はほとんど変えておらず、玄関もそのうちの1つです。

壁は左官でコテの動きを残して仕上げながら、既存のふすまは木枠の透明な樹脂パネルが入った引き違い扉に、垂れ壁はガラス窓とすることで、玄関の広がりと明るさがリビング空間まで行き届くように、計画しました。

 

お孫さんが、すごく明るくなったね!と言っていたそうで、設計した意図を子どもが感じてくれたことが嬉しいですね。



場所:兵庫県姫路市飾磨区

用途:専用住宅

規模:木造平屋建+車庫

延べ面積:住宅/129.20㎡(39.08坪)

施工:株式会社平田建設